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千葉地方裁判所 昭和50年(行ウ)6号 判決

千葉県市原市山田橋一五〇-一

原告

多田重男

右訴訟代理人弁護士

高橋勲

田村徹

高橋高子

後藤裕造

白井幸男

藤野善夫

千葉市新宿町二-二〇八

被告

千葉東税務署長

梅澤孝正

右指定代理人

竹内康尋

平賀俊明

富山

岩井明広

塚本晃康

石津住延

佐藤恭一

高野幸雄

岩原良夫

右指定代理人

山本高志

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた判決

一  請求の趣旨

1  被告が、原告に対し、昭和四九年三月一一日付けでなした昭和四五年分、昭和四六年分及び昭和四七年分所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分をいずれも取消す。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨

第二当事者の主張

一  請求原因

1  原告は農業用ビニールの加工販売を業とし、いわゆる白色申告者であるが、昭和四五年分、同四六年分及び同四七年分の各所得税の確定申告を別表(四)のとおり申告したところ、被告は同表のとおり、昭和四九年三月一一日付けで各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定(以下、右各更正処分を「本件各更正」と、右過少申告加算税の各賦課決定を「本件各決定」と、右各決定を総称して「本件各処分」という。)を行った。

2  原告は昭和四九年五月一〇日、本件各処分に対して異議を申し立てたが、被告は同年八月九日付けで原告の右各異議を棄却したので、原告は同年九月一一日、更に国税不服審判所長に対して各審査請求をしたところ、同所長は昭和五〇年六月四日付けで、いずれもこれを棄却した。

3  本件各処分の違法性

(一) 本件各更正手続の瑕疵

(1) 本件調査の違憲性

被告は、本件各処分に先立ち、昭和四八年九月以降数回にわたり、原告方の臨店調査をしているが、それは民主商工会(以下、「民商」という)の弾圧を目的とした一連の狙いうちの調査の一環をなすものであり、いわば他事目的の調査であって、憲法第一四条第一項に違反する。

すなわち、民商は中小商工業者の生活、営業その他の諸権利を守る全国組織であり、特に会員の税務相談、税金申告手続の援助等を主要な活動としている民主的な組織であるが、税務署は民商を特殊団体としてマークし、正当な納税運動を反税運動と規定して敵視し、従来から弾圧の対象として来た。原告の加入している市原民商は本件調査当時急速に増大してきた支部組織であり、活発に活動を展開していたものであるが、昭和四八年中に調査を受けた市原民商会員は、訴外佐野嚴(同民商会長)、同井原義満(同常任理事)、原茂(同理事)、原告(同常任理事)等役員を含む一五、六人に及んでいる。

このように、被告の原告に対する本件調査は、違憲違法な他事目的による調査であることは明らかである。

(2) 本件臨店調査の違法性

被告の昭和四八年九月二八日及び同年一〇月初旬の本件臨店調査は、事前通知なしに行われたものである。臨店調査をするにはその旨事前に予告するのが調査の重要な条件であり、そのうちでも第一回目の調査には必ず事前に通知すべきである。

すなわち、申告納税者は、税務署員が突然臨店するならば多大な迷惑を受けるとともに、短時間内に効率的に調査に応ずるための準備ができないために適切な応待ができないことが当然予想されるし、仮に調査を拒否すれば所得税法第二四二条第八号の不答弁罪の制裁をうけることになりかねないからである。したがって被告ら税務署員としては事前に調査目的を通知し、納税者が営業活動上の迷惑を被ることを未然に防止するため調査期日を予告すべきであり、そのことは公務員、殊に税務署員に課された当然の義務であるが、本件の場合、昭和四八年九月二八日及び同年一〇月初旬に事前通知なく不意討ちに原告方に臨店調査した違法があり、しかも第一回目の臨店の際、原告の不在を奇貨として、当時、病気がちの原告の妻君江に対し、調査内容を告知せず、執拗に取引先、取引銀行等を聞き出し、原告に対する調査の初動の段階において違法な調査を先行している。

(3) 調査立会い拒否の違法性

原告は、昭和四五年から会計帳簿類、領収書綴り等の原始資料を市原民商に預けて所得税等の申告事務の指導を受けていたため、同民商事務局長を本件臨店調査に立ち会わせて説明させようとしたにもかかわらず、被告所部の残間係官らは、昭和四八年一一月中旬ころの臨店調査に際し、その排除をはからんとしたものであって、その言動は原告らの意思を無視し、税理士を依頼することのできない納税者を差別する違憲違法なものである。

(4) 本件推計課税の無効性

いわゆる反面調査(所得税法第二三四条第一項第三号)は、同条同項第一号の納税者に対する調査の過程でその質問検査だけでは課税標準及び税額等の内容が把握できないことが明らかになった場合に限り、かつ、その限度において可能である。しかるに本件の場合、右(1)ないし(3)のとおり、本件各処分に先立って行われた被告の本件質問検査権の行使は違法であり、原告がかかる違法な質問検査権の行使を拒否したのは当然の権利行使であるから、被告は、原告の拒否を口実として反面調査を行って課税資料を収集することはできないのであり、それにもかかわらず、原告の右拒否を口実とし違法に収集した課税資料を基に行った本件推計課税は違法といわざるを得ない。

(二) 所得の過大認定

原告の各年度の総所得金額は確定申告のとおりであり、被告の本件各更正は原告の所得を過大に認定した違法がある。よって、本件各更正は違法であり、したがってまた、本件各更正を前提としてなされた本件各決定も違法であるから、原告は被告の行った本件各処分の取消しを求める。

二  請求原因に対する認否及び被告の主張

1  請求原因に対する認否

(一) 請求原因1の事実は認める。

(二) 同2の事実は認める。

(三) 同3の(一)(1)の事実のうち、被告所部の係官が昭和四八年九月以降数回にわたり臨店調査したことは認めるが、その余は否認する。同3の(一)(2)の事実のうち、被告所部の係官が昭和四八年九月二八日、原告方に臨店調査に赴いたことは認めるが、その余は争う。同3の(一)(3)の事実のうち、昭和四八年一一月中旬ころの被告所部の残間係官の臨店調査に際し、市原民商の関係者が立ち会おうとしたことは認めるが、その余は争う。同3の(一)(4)の事実のうち、被告が原告の取引先等の反面調査を行って、課税資料を収集したことは認めるが、その余は争う。

同3の(二)の事実は争う。

2  被告の主張

(一) 被告が推計課税を行うに至った経緯

(1) 原告は、昭和四五年分ないし同四七年分の所得税について別表(四)一ないし三の各確定申告欄記載のとおりの確定申告書を被告に提出したので、被告は、原告の右各年度分の確定申告について検討したところ、原告の事業規模(工場二棟のほか倉庫、従業員宿舎等の設備を有している。)から見て申告が低調と認められること、原告については長期間調査がなされていないうえ、原告の確定申告書には白色申告者について最低限度の記載事項として記載を求めている「収入金額」、「必要経費」、「専従者控除額」及び「所得金額」の各欄のうち前二者の欄の記入がなく、その申告が適正なものであるか否かを判定することは極めて困難であったことから調査の必要があると認め、当時千葉税務署所属の仲野一係官にその調査を行わせることとした。その結果は次のとおりである。

(ア) 昭和四八年九月二八日、仲野係官は原告方に臨場したが、原告が不在であったため原告の妻君江に面接し、身分証明書及び質問検査章を提示したところ、同人は「申告のことはよくわからない。私は病弱のため事業には従事しておりませんので、詳しいことは分かりません。調査はあとにしてください。」などと述べたため、同係官は後日調査日を連絡するので原告に伝えるよう依頼し、原告方を辞去した。

(イ) 同年一〇月一日、仲野係官は電話で原告の事業専従者である原告の長女満子に対し、同月三日午後調査のため臨店するのでその旨原告に伝言方を依頼した。

翌二日、原告から仲野係官に対し、三日は都合が悪いとの連絡があったため、同係官は三日の臨店調査を中止した。

(ウ) 同年一一月一二日、仲野係官は原告の妻に対し、同月一五日午後臨店調査に行く旨連絡した。

同年一一月一四日、原告から仲野係官に対し、一五日は都合が悪いので一六日して欲しいとの電話があったので、同係官は原告方への臨店調査日時を一六日午前一〇時半ころと約束した。

(エ) 同年一一月一六日午前一〇時二〇分ころ、仲野係官は差支えのため、同係官に代わって残間庄造係官が原告事務所に臨場したところ、原告事務所には原告のほか三名の市原民商の事務局員及び会員が在室していた。残間係官は原告に身分証明書及び質問検査章を提示し、原告の所得税の調査のため臨場したことを告げると、市原民商の事務局員らは「何故、多田さんを調査するのか、調査理由をはっきりしろ。はっきりした調査理由もないのに調査している。理由をいってみろよ。」等と要求するので、残間係官は原告に対し、原告以外の者には席をはずしてもらうよう要請したが、原告は応じなかった。そこで残間係官は、本日の調査は原告の確定申告書に記載された所得金額の計算過程が正しいかどうかを確認するためのものであること。そのために売上金額、仕入金額あるいは代金の決済方法等について具体的に質問したいこと等を告げて、帳簿書類等を提示するなどして協力するよう説得したが、原告は「うちは正しく申告しているんだ。どうしてこんな小さなところを調査するのか。税金の無駄使いだよ。こんなところ調査しても仕方がないと署長に話したまえ。」などと発言して、調査にも応じようとしなかったので、同係官は調査を断念して原告方を辞去した。

(オ) 同年一二月八日、仲野係官は電話で一一日に調査のため臨場する旨原告に伝えた。

同年一二月一一日午前一〇時半ころ、仲野係官は残間係官と共に原告事務所に臨場し、原告に来意を告げて質問したところ、原告は「わたしの申告は間違っていない。大企業から税金をとればこんなところを調査する必要はない。」などと発言して、右係官らの再三の要請にもかかわらず、全く調査に応じようとしなかった。しかも同日午前一一時四〇分ころ、原告の長男から原告事務所に居る仲野係官らに対し臨場調査に抗議する電話がある有様で、かかる状況から仲野係官らは調査を断念し原告方を辞去した。

(2) 被告は以上の経緯から、原告に対してこれ以上調査を行っても実額によって所得金額を算出することは不可能と認め、原告の取引先に対する反面調査等によって知り得た課税資料を基礎として原告の所得金額を推計せざるを得なかったのであり、その推計計算に基づき本件各処分を行ったものである。

(二) 本件調査における質問検査権行使の適法性について

(1) 所得税法第二三四条は、所得税に関する調査について必要があるときは課税庁の税務職員が納税義務者に対して質問検査権を行使する権限を付与している。右の「調査について必要があるとき」とは、調査の目的、調査すべき事項、申請、申告の体裁内容、帳簿等の記入保存状況、事業の形態等諸般の具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合をさすが(最判昭和四八年七月一〇日刑集二七巻七号一二〇五頁)、申告の真実性、正確性を調査するために必要がある場合も、右の「調査について必要があるとき」に含まれると解するのが相当である(東京高判昭和五三年一〇月三一日、訟務月報二四巻一二号二五八九頁)。また、所得税法第二三四条には質問検査をなしうることを定めているが、その必要とする理由を開示しなければならない旨の規定は何ら存在しないから、調査理由の開示をもって質問検査権行使の手続要件とする余地はない(前掲最判昭和四八年七月一〇日、東地判昭和四九年一一月六日訟務月報二〇巻一三号一六〇頁)。このことは所得税法第二三六条が質問検査にあたっては身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならないことを明文をもって規定していることと対比すれば、おのずから明らかである。

(2) 税務職員の納税者に対する調査は、本来、調査対象者である当該納税者について行うものであるところ、右調査に際して立ち会う者は、当該納税者自身のほかその家族、従業員が質問検査権行使の対象者である場合か、又はその立会いが調査を行ううえにおいて必要又は有益であると税務職員が判断した場合かであって、納税者の委任を受けた税理士の資格のない第三者が、税務職員の同意もなしに調査立会いが当然の権利であるかのごとく一方的にその立会いを要求できるものではない。また、調査に直接関係のない第三者の立会いについて、たとえそれが当該納税者の同意ないし要請に基づくものであっても、税務職員の了解なしに一方的に立会いを要求する権利のないこともまた、右と同様である。このことは、税務調査においては納税者の営業の実態等を明らかにする必要を生じ、またそのためしばしばその取引先等との間に関する事項を詳細に調査することがあり、その調査で明らかにされる当該納税者やその取引先等の営業に関する事項を秘密として取り扱う必要があるからである。したがって、当該納税者の家族、従業員等その営業に関係している者でもなく、また納税者の委任を受けた税理士でもない第三者を調査に介入させることが一般的にいって決して適当ではないのである。本件において、市原民商の役員らは原告の委任を受けた税理士ではなく、そのうえ前述のとおり仲野係官らの調査の促進を妨げたので、同係官らはその退席を要請したものであり、当然のことである。

(三) 推計の合理性について

被告は、原告の昭和四五年分ないし同四七年分の所得金額を算定するに当って、売上金額、算出所得金額(特別経費控除前の額)及び人件費の額を推計により算出したのであるが、その推計計算に合理性のあることは次のとおりである。

(1) 推計方法が最適であると認められる根拠は、同種の事業を営み、その事業内容、立地条件等の営業条件が類似している業者間にあっては、一般に経済的な競争関係にあるため、その営業上の比率も同程度の比率を示すのが通常であるという経験則からきているものであり、推計課税は、所得金額の実額が把握できない場合に推計により得た蓋然的近似値を一応真実の所得金額と認定して課税する制度であるから、納税者と対比すべき同業者の事業規模は、当該納税者のそれと細部の点に至るまで完全に一致する必要はなく、その主要な点において類似しておれば足りるのであり(大阪高裁昭和五〇年五月二七日判決行裁例集二六巻五号七七九頁)、また、比準同業者についても、その抽出基準として業種の同一性、営業規模の類似性が存し、その他右同業者の抽出に恣意が介在しない等の推計の基礎的条件に欠けるところがない以上、推計の対象となる納税者の個別的条件は、その平均比率を用いることを不合理ならしめるほど顕著なものでない限り、右平均比率のうちに捨象される性質のものであるから、右納税者によって比準同業者の平均比率によることを得ない特殊事情の存することが立証されない限りは、右個別的条件は平均比率による推計を妨げるものとはいえず、これを顧慮する必要はないものである(東京高裁昭和五四年二月二八日判決、税務訴訟資料一〇四号五〇四頁参照)。

ところで、被告が推計計算において採用した別表(一)ないし(三)各記載の同業者は、千葉県下を所轄するすべての税務署管内の同業者のうちから、農業用ビニールの加工販売及びビニールハウスの販売に係る売上原価の額が総売上原価の七〇パーセント以上を占める者を選定したものであるから、原告と右同業者との間における営業条件の類似性は十分に考慮されているというべきである。

すなわち、右同業者の抽出基準においては、まず、同業者の収集範囲を、原告の納税地を所轄する当時の千葉税務署管内において農業用ビニールの加工販売等、原告と同様な事業を個人で営むものはきわめて少数であるため、千葉県下を所轄するすべての税務署(一〇署)管内としたことによって、原告と同業者の立地条件の類似性を考慮しており、また、具体的に同業者を抽出するに当って

(一) 昭和四五年、昭和四六年又は昭和四七年中において歴年を通じて事業を継続している者で年の中途において業態の変更のない者であること。

(二) 青色申告者で昭和四五年分、昭和四六年分又は昭和四七年分ともそれぞれ、その年分の青色申告決算書を提出していること。

(三) 右(一)及び(二)の条件に該当する者のうち、税務署長より更正処分を受け、これに対して不服申立てを行い係争中でないこと。

という条件のいずれも充たす者としたものであるが、右条件のうち(一)については特殊事情のある者を除外したものであり、(二)については青色申告者は所得税法第一四八条の規定により一定の帳簿書類の備付け、記録、保存が義務付けられ、右帳簿書類に基づき青色申告決算書が作成されることから、その比率を算定するに当って、その基礎となる数額の正確性を考慮したものであり、(三)はその安定性を考慮したものである。

(2) 右の抽出基準により抽出された農業用ビニールの加工販売及びビニールハウスの販売の同業者並びに同業者についての売上(収入)金額等は、別表(一)ないし(三)各記載のとおりであるが、その抽出及び比率の算出は、東京国税局長が千葉県下を所轄するすべての税務署長宛に通達を発して調査報告させたものであり、そこには思惑や恣意の介在する余地はなく、公正に抽出され、かつ正確に算定されたものである。

(3) 右のとおり、被告が本訴において主張する同業者の平均差益率及び平均算出所得率は、原告と営業条件の類似する同業者の差益率及び算出所得率を基に算出されており、また、その同業者の抽出及び比率の算定は公正・正確に行われたものであるから、これによる売上金額及び算出所得金額の推計には合理性があるというべきである。

(四) 原告の所得金額及びその算出根拠について

(1) 原告の昭和四五年分の所得金額の内訳は別表(五)記載のとおりであり、その算出根拠は次のとおりである。

(ア) 売上金額 金七九二二万八〇〇七円

右売上金額は、前記(三)(1)の抽出基準により抽出された別表(一)記載の同業者(以下、「別表(一)記載の同業者」という。)の差益率を原告の売上原価に適用して算出したものである。

その算式は、「69,871,180(売上原価)÷(1-0.1181(差益率))=79,228,007円(売上金額)」である。

(イ) 売上原価 金六九八七万一一八〇円

右売上原価は、原告の仕入先一四社からの仕入金額である。仕入先ごとの仕入金額は別表(六)記載のとおりである。

(ウ) 差益金額 金九三五万六八二七円

右差益金額は売上金額から売上原価の額を差し引いた金額である。

(エ) 算出所得金額 金六一三万二二四七円

右算出所得金額は、売上金額から売上原価及び一般的な経費(経費のうち、後記(オ)ないし(キ)に掲げる人件費、支払利息・割引料及び建物減価償却費以外のもの。)の額を差し引いた金額であり、原告の売上金額に別表(一)記載の同業者の算出所得率を適用して算出したものである。

その算式は、「79,228,007円(売上金額)×0.0774(算出所得率)=6,132,247円(算出所得金額)」である。

(オ) 人件費 金二二六万〇六九二円

右人件費は、雇人費、外注費及び家族従業者に対する給与の合計額であり、原告の売上金額に別表(一)記載の同業者の人件費率を適用して算出したものである。

なお、別表(一)記載の同業者はすべて青色申告者であって、その家族従業者に対する給与は、所得税法第五七条第一項に規定する青色事業専従者給与であるが、原告はいわゆる白色申告者であるため、この青色事業専従者給与の適用はなく、これに代えて事業専従者控除を適用することとなる。次に掲げる算式において、〈1〉の金額から〈2〉の金額を差し引いたのはこのためである。

その算式は、「〈1〉(売上金額×人件費率)-〈2〉(同業者の家族従業者1人あたりの給与×原告の家族従業者数)=(79,228,007円×0.0331)-(361,755円×1人)=2,260,692円」である。

(カ) 支払利息・割引料 金二三万五〇三二円

原告が、昭和四五年中に市原信用組合辰己支店に支払った利息金九万三八六六円、千葉信用金庫八幡支店に支払った利息金三万一七三〇円、手形割引料金一〇万九四三六円の合計額である。

(キ) 建物減価償却費 金一三万九五五三円

右建物減価償却費は、定額法によって算出したものであり、その明細は別表(七)記載のとおりである。

(ク) 事業専従者控除額 金一五万円

右事業専従者控除額は、原告が確定申告書に記載し、所得税法第五七条第三項の規定の適用を受けたものである。

(2) 原告の昭和四六年分の所得金額の内訳は別表(八)記載のとおりであり、その算出根拠は次のとおりである。

(ア) 売上金額 金一億〇〇九四万一一三六円

右売上金額の算出方法は前記(1)(ア)の昭和四五年分の売上金額で主張したのと同様である。

その算式は、「88,313,400円(売上原価)÷(1-0.1251(差益率))=100,941,136円(売上金額)」である。

(イ) 売上原価 金八八三一万三四〇〇円

右売上原価は、原告の仕入先二一社からの仕入金額である。仕入先ごとの仕入金額は別表(九)記載のとおりである。

(ウ) 差益金額 金一二六二万七七三六円

右差益金額は、売上金額から売上原価の額を差し引いた金額である。

(エ) 算出所得金額 金八三三万七七三七円

右算出所得金額の算出方法は、前記(1)(エ)の昭和四五年分の算出所得金額で主張したのと同様である。

その算式は、「100,941,136円(売上金額)×0.0826(算出所得率)=8,337,737円(算出所得金額)」である。

(オ) 人件費 金二八六万七七七八円

右人件費の算出方法は、前記(1)(オ)の昭和四五年分の人件費で主張したのと同様である。

その算式は、「(100,941,136円(売上金額)×0.0324(人件費率))-(402,714円(同業者の家族従業者1人あたりの給与)×1(原告の家族従業者数)=2,867,778円」である。

(カ) 支払利息・割引料 金三九万六四〇七円

原告が、昭和四六年中に市原信用組合辰己支店に支払った利息金二六万一四三一円、千葉信用金庫八幡支店に支払った利息金三万八五九〇円、手形割引料金五万〇六六九円及び市原農業協同組合に支払った利息金四万五七一七円の合計額である。

(キ) 建物減価償却費 金一八万一八二三円

右建物減価償却費は、定額法によって算出したものであり、その明細は別表(一〇)記載のとおりである。

(ク) 事業専従者控除額 金一六万五〇〇〇円

右事業専従者控除額は、原告が確定申告書に記載し、所得税法第五七条第三項の規定の適用を受けたものである。

(3) 原告の昭和四七年分の所得金額の内訳は別表(一一)記載のとおりであり、その算出根拠は次のとおりである。

(ア) 売上金額 金八五四九万七三五二円

右売上金額の算出方法は前記(1)(ア)の昭和四五年分の売上金額で主張したのと同様である。

その算式は、「74,810,183円(売上原価)÷(1-0.1250(差益率))=85,497,352円(売上金額)」である。

(イ) 売上原価 金七四八一万〇一八三円

右売上原価は、原告の仕入先一九社からの仕入金額である。仕入先ごとの仕入金額は別表(一二)記載のとおりである。

(ウ) 差益金額 金一〇六八万七一六九円

右差益金額は、売上金額から売上原価の額を差し引いた金額である。

(エ) 算出所得金額 金六六二万六〇四四円

右算出所得金額の算出方法は、前記(1)(エ)の昭和四五年分の算出所得金額で主張したのと同様である。

その算式は、「85,497,352円(売上金額)×0.0775(算出所得率)=6,626,044円(算出所得金額)」である。

(オ) 人件費 金二四四万四七五〇円

右人件費の算出方法は、前記(1)(オ)の昭和四五年分の人件費で主張したのと同様である。

その算式は、「(85,497,352円(売上金額)×0.0377(人件費率))-(389,250円(同業者の家族従業者1人あたりの給与)×2(原告の家族従業者数))=2,444,750円」である。

(カ) 支払利息・割引料 金四七万一六七四円

原告が、昭和四七年中に市原信用組合辰己支店に支払った利息金二八万四七九五円、千葉信用金庫八幡支店に支払った利息金四万三〇九四円、手形割引料金五万九八三七円及び市原農業協同組合に支払った利息金八万三九四八円の合計額である。

(キ) 建物減価償却費 金二二万四〇九四円

右建物減価償却費は、定額法によって算出したものであり、その明細は別表(一三)記載のとおりである。

(ク) 事業専従者控除額 金三四万円

右事業専従者控除額は、原告が確定申告書に記載し、所得税法第五七条第三項の規定の適用を受けたものである。

(4) 以上述べたとおり、原告の事業所得(営業)の金額は、昭和四五年分は金三三四万六九七〇円、昭和四六年分は金四七二万六七二九円、昭和四七年分は金三一四万五五二六円であり、本件更正において認定した原告の事業所得(営業)の金額、昭和四五年分金二九三万四二一九円、昭和四六年分金三三〇万四三三五円及び昭和四七年分金二三一万〇四一八円は、いずれも右所得金額の範囲内であるから、本件処分は適法である。

三  被告の主張に対する認否及び原告の反論

1  被告の主張に対する認否

(一) 被告の主張(一)(1)(ア)の事実のうち、昭和四八年九月二八日ころ仲野係官が原告方を臨店調査したことは認める。右臨店調査には押尾某係官も同行し、予告なく行われたものである。その余の事実は不知。

同(一)(1)(エ)の事実のうち、同年一一月中旬ころ、残間係官が原告方を臨店調査したことは認める。右臨店調査には菅原某係官も同行していた。また当日、原告方には原告のほか市原民商事務局長石井満及び三橋、井原両民商会員がいた。その余の事実は不知。

同(一)(1)(オ)の事実のうち、同年一二月一〇日ころ、仲野、残間両係官が原告方を臨店調査したことは認める。その余の事実は不知。

なお、右各時日のほか、同年一〇月初旬にも、仲野、押尾両係官が予告なく原告方を臨店調査している。

(二) 同(二)(1)の主張は争う。同(二)(2)の事実のうち、市原民商の役員らが仲野係官の調査の促進を妨げたとの点は否認し、その余は争う。

(三) 同(三)の被告の行った本件推計には合理性があるとの主張は争う。

(四) 同(四)(1)の事実のうち、原告の昭和四五年分の所得金額が別表(五)記載の金額であることは否認する。

同(四)(1)(ア)の売上金額は否認する。原告は農業用ビニールの加工販売を専業とする個人事業者であるが、県内のほとんどの業者は、種苗、肥飼料、あるいは薬局、文房具、雑貨及び石油等の販売を兼ねており、原告とは業種、業態を異にしているので、かかる業者の差益率を適用して原告の売上金額を算出するのは不合理である。

同(四)(1)(イ)の売上原価は否認する。ただし、別表(六)記載の京葉産業株式会社及び株式会社東ビを除くその余の仕入先からの仕入金額は認める。同表記載の京葉産業株式会社及び東ビ株式会社からの各仕入金額は否認する。右各仕入金額には控除されるべき原価売戻し(返品)金額が含まれている。

同(四)(1)(ウ)の差益金額及び(エ)の算出所得金額は否認する。

同(四)(1)(オ)の人件費は否認する。

同(四)(1)(カ)の支払利息・割引料、(キ)の建物減価償却費及び(ク)の事業専従者控除額は認める。

(五) 同(四)(2)の事実のうち、原告の昭和四六年分の所得金額が別表(八)記載の金額であることは否認する。

同(四)(2)(ア)の売上金額は否認する。その事情は昭和四五年分について述べたことと同様である。

同(四)(2)(イ)の売上原価は否認する。ただし別表(九)記載の京葉産業株式会社、株式会社東ビ及び東ビ株式会社(株式会社東ビが商号変更したもの)を除くその余の仕入先からの仕入金額は認める。同表記載の京葉産業株式会社及び東ビ株式会社からの各仕入金額は否認する。右各仕入金額には控除されるべき原価売戻し(返品)金額が含まれている。

同(四)(2)(ウ)の差益金額、(エ)の算出所得金額及び(オ)の人件費は否認する。

同(四)(2)(カ)の支払利息・割引料、(キ)の建物減価償却費及び(ク)事業専従者控除額は認める。

(六) 同(四)(3)の事実のうち、原告の昭和四七年分の所得金額が別表(一一)記載の金額であることは否認する。

同(四)(3)(ア)の売上金額は否認する。その事情は昭和四五年分について述べたことと同様である。

同(四)(3)(イ)の売上原価は否認する。別表(一二)記載の京葉産業株式会社を除くその余の仕入先からの仕入金額は認める。同表記載の京葉産業株式会社からの仕入金額は否認する。右仕入金額には控除されるべき原価売戻し(返品)金額が含まれている。

同(四)(3)(ウ)の差益金額、(エ)の算出所得金額及び(オ)の人件費は否認する。

同(四)(3)(カ)の支払利息・割引料、(キ)の建物減価償却費及び(ク)の事業専従者控除額は認める。

2  推計の合理性についての反論

(一) 推計手法の違法性

被告は、本訴訟において、原告と同業の個人事業者の平均差益率を昭和四五年分は一一・八一パーセント、昭和四六年分は一二・五一パーセント、昭和四七年分は一二・五〇パーセントと、また平均算出所得率を昭和四五年分は七・七四パーセント、昭和四六年分は八・二六パーセント、昭和四七年分は七・七五パーセントと主張しているが、国税不服審判所においては、原告と同業の個人事業者の平均差益率を昭和四五年分は九・九八パーセント、昭和四六年分は一〇・五八パーセント、昭和四七年分は一一・二四パーセントと、平均算出所得率を昭和四五年分は六・六〇パーセント、昭和四六年分は六・九四パーセント、昭和四七年分は七・二二パーセントと主張し、いずれも本訴訟において主張するものとは異なる比率を主張し、一貫性がみられない。

ところで、所得の推計方法に同種業者の平均所得率、利益率 用いる場合には、その値が「実額との近似性を推定する」ほどの合理性が要請されるものとされている(東地判昭和三四年四月七日下級裁判所裁判例集一〇巻四号七二〇頁、東地判昭和三八年五月三〇日税務訴訟資料三七巻六〇一頁、京地判昭和五〇年六月二〇日シュトイエル一六一号四一頁)。被告は、原告の同業者として五業者を選び、その差益率、算出所得率を推計の資料としているが、右業者を選び出す基準として「農業用ビニールの加工販売及びビニールハウスの販売にかかる売上原価の額がその者の売上原価の七〇パーセント以上を占めるもの」を採用したと主張している。しかし、何故七〇パーセントを基準としたのか理由が明らかでない。また原告は、ほぼ一〇〇パーセントの割合で農業用ビニール、農業用ポリエチレンの加工販売及びビニールハウス販売によって営業収益をあげていたのであって、種苗、農薬などの販売を一切行っていないが、他の農業用ビニールの販売業者は、農業用ビニールの加工販売以外に種苗、農薬等の多様な種類の商品を販売している例が多い。その場合、営業収益においては、農業用ビニール、農業用ポリエチレンの販売によるものと種苗、農薬の販売によるものとでは、利益率の点において大いに差異があるのである。しかるに被告は、この点について、五業者が他にいかなる商品を販売しているかは一切明らかにしておらず、結局、五業者の営業内容が原告と積極的に類似していることを示していない。

したがって、これらの点の検討を経ないまま、前記のとおり、一貫性のみられない被告主張の差益率、算出所得率を用いて原告の所得金額を推計するのは違法不当である。

(二) 推計によって出された結果の不合理性

被告は、その推計方法による原告の営業所得の値については、原告の主張する「純返品という特殊な取引」について考慮していない。

原告は、昭和四五年度は京葉産業株式会社との間で金三九八万九六七四円、東ビ株式会社との間で三〇万二二六八円、合計金四二九万一九四二円、昭和四六年度は右京葉産業との間で金九二六万五六二〇円、右東ビとの間で金一二万六四〇〇円、合計金九三九万二〇二〇円、昭和四七年度は右京葉産業との間で金三七八万六三六九円の純返品額がある。これらの純返品額は各年度の仕入金額から控除されて原告の各所得金額が把握されなければならないのであるが、被告はこれを考慮していないのであるから、被告の把握した原告の各所得金額は所得の実額との近似性を推定しうる合理的根拠に全く欠けているといわねばならない。そのほか原告には、昭和四五年度において金五一万三三五五円、昭和四六年度において金一〇九万一八一五円の貸倒れ債権があり、これらの金額も各年度の推計された所得金額より控除されるべきである。

第三証拠

証拠関係は、本件記録中の書証目録、証人等目録記載のとおりであるから、これをここに引用する。

理由

一  請求原因について

1  請求原因1及び2の事実は当事者間に争いがない。

2  同3(一)(1)の事実のうち、被告所部の係官が昭和四八年九月以降数回にわたり臨店調査したこと、同3(一)(2)の事実のうち、被告所部の係官が昭和四八年九月二八日、原告方に臨店調査に赴いたこと、同3(一)(3)の事実のうち、昭和四八年一一月中旬ころの被告所部の残間係官の臨店調査に際し、市原民商の関係者が立ち会おうとしたこと、同3(一)(4)の事実のうち、被告が原告の取引先等の反面調査を行って、課税資料を収集したことは当事者間に争いがない。

二  推計の必要性について

1(一)  被告の主張(一)(1)(ア)の事実のうち、昭和四八年九月二八日ころ仲野係官が原告方を臨店調査したことは当事者間に争いない。

(二)  同(一)(1)(エ)の事実のうち、同年一一月中旬ころ残間係官が原告方を臨店調査したことは当事者間に争いない。

(三)  同(一)(1)(オ)の事実のうち、同年一二月一〇日ころ仲野、残間両係官が原告方を臨店調査したことは当事者間に争いない。

2  前記一項2の事実及び二項1の事実にいずれも成立に争いのない乙第一ないし第三号証の各一、二並びに証人多田正純(ただし後記認定に反する部分を除く)、同仲野一、同残間庄造の各証言及び原告本人尋問の結果を総合すると、次の事実を認めることができる。

(一)  被告は原告の本件各係争年度の確定申告の内容について検討したところ、〈1〉原告の事業規模などから見て原告の申告額が低調と認められたこと、〈2〉原告方を長期間調査していないこと、〈3〉原告の確定申告書に収入金額や必要経費の記載がなく、確定申告の内容がどのように計算されたのかを確認する必要があったことなどから、被告所部の統括官をして所得税の調査事務に従事していた仲野係官に原告に対する調査の必要を説明させたうえ、同係官に原告方の調査を指示した。仲野係官は右指示に基づき次のとおり原告方の調査を実施した。

(1) 昭和四八年九月二八日、仲野係官は同じ係の押尾係官と二人で原告方に臨場したが、原告は不在であった。そこで仲野係官らは原告の妻に面会し、同人に身分証明書、質問検査章を提示して、原告の所得税の調査に臨場した旨を告げたが、同人は「自分は申告のことは分らないので後にしてほしい。」旨を述べたため、仲野係官らは同人の知っている範囲内のことについて調査を行ったところ、原告の妻は「自分は病弱のためあまり仕事の方には従事していないのでよく分からないが、仕入先は東京ビニロン、新谷商店などであり、仕事内容はビニール加工であり、取引銀行は千葉信用金庫八幡支店である。」旨答えたにとどまり、結局、申告内容自体については調査できなかった。そこで、仲野係官らは同人に対し、後日再び調査に来訪すること、その日取りは後に連絡するのでその旨原告に伝えて欲しいと依頼して、原告方を退去した。

(2) 同年一〇月一日、仲野係官は原告方に調査日を連絡するため電話したが、原告が不在のため、応対した原告の娘に「同月三日に調査のため臨場するのでその旨原告に伝えて欲しい。」旨依頼した。

(3) 同年一〇月二日、原告の娘から仲野係官に対し「一〇月三日は都合が悪いので調査は後にして欲しい。後で原告の方から都合の良い日を連絡する。」旨電話があったので、仲野係官は一〇月三日の原告方臨場を中止した。

(4) その後仲野係官は、原告から一向に連絡がなく、かつ、原告の都合のよい調査日を決めるため何回か原告方に連絡しても連絡がつかないため、その旨上司の統括官に報告した。統括官は、同年一一月一二日仲野係官に対し、同係官の方から調査日を指定するよう指示を与えたが、同係官は翌一三日から一〇日間ほど研修のため不在になるので、その間、同じ係の残間係官に原告方の調査を行うよう指示した。これを受けて残間係官は、同日原告方に「一〇月一五日午後から調査のため臨場する。」旨電話したが、原告が不在のため、応対した原告の妻にその旨原告への連絡方を依頼した。

(5) 同年一一月一四日、残間係官が翌一五日の臨店調査の確認のため原告方に電話すると、原告は「一五日は都合が悪いので次の一六日にして欲しい。」旨申し出たため、同係官は原告方臨店調査を翌々一六日と変更した。

(6) 同年一一月一六日午前一〇時二〇分ころ、残間係官は一人で原告方に臨場した。原告方には原告のほか民商事務局員及び同会員の三名ぐらいが同席していたが、残間係官は、先ず身分証明書を提示して自己紹介をしたうえ、質問検査章を提示して、「原告の所得税調査のために臨場した。原告の申告された所得金額が正しいかどうか確認するためであるから、昭和四五年、昭和四六年昭和四七年の確定申告のもととなった関係書類、帳簿を見せて欲しい。」旨申し出るとともに、原告に対し仕入れ先、取引金額、取引銀行等について質問した。それに対し原告は答えようとはせず、かえって周りにいた民商事務局員等が「調査理由をいえ。具体的に調査理由をいわなければ調査には応じられない。」などと口答えするので、同係官はこれらの者の退席を要求したが、原告はこれにも応じず、「自分の申告は正しいんだ。自分のところのように小さなところをどうして調査するんだ。もっと大きい所を調べれば自分のところなど調べる必要がない。」等と主張し、かつ、事務机に座ったまま電話のダイヤルを回し続けて残間係官の質問を避けようとする態度を取るので、同係官は原告に対する当日の調査を断念し、原告方を退去した。

(7) 同年一二月八日、仲野係官は原告方に「一二月一一日に調査のため訪問する。」旨電話で連絡した。

(8) 同年一二月一一日、仲野係官は残間係官とともに原告方に臨場し、原告に調査協力方を依頼したが、原告は「こんな小さいところを調べないでもっと大きいところを調べたらどうか。大企業は特別措置法によって優遇されているんじゃないか。自分の申告は正しいんだ。調査に来ることは人権無視もはなはだしい。」などと述べて調査には全く協力しようとしないばかりか、右係官らが質問を続けようとしているのに取引先と電話連絡するなどして質問には応じようとしない態度さえ示した。しかも仲野係官らが原告方に臨場して一時間ほど経ったころ、原告の長男多田正純から仲野係官らに対し、「今は忙しいから調査は後日にして欲しい。調査理由を具体的に明らかにしなければ調査に応ずることはできない。」との電話が入る有様で、仲野係官らは原告に対する調査を断念し、原告方を退去した。

(二)  仲野係官は以上の調査の経緯を上司の統括官に報告して以後の指示を求めた。統括官はその報告を受け、原告が調査に協力しないのでは反面調査を実施し課税資料を把握して所得金額を算出するほかはないものと判断し、仲野係官にその旨指示した。仲野係官らは右指示に従い、原告の取引銀行や仕入先について反面調査を実施して原告の各仕入金額等を調査したので、被告は本件各処分をするに至った。

以上の事実が認められる。証人多田正純の証言中右認定に反する部分は前掲各証拠に照らして採用し難く、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

右認定事実によれば、原告は、被告所部の係官の調査に対し、確定申告のもととなった関係書類、帳簿の提示もせず、調査に協力しないため、本件各係争年度の原告の所得金額を実額で算定することは不可能であったと認められるから、被告は、原告の取引先、取引銀行等を反面調査して得た課税資料を基に原告の本件各係争年度の所定金額を推計によって算定し課税する必要があったものといわねばならず、その過程にはなんら違法な点はない。

3  原告は

(一)  被告の本件臨店調査は、原告の所属する市原民商の弾圧を目的とした他事目的の調査であり、違憲である旨主張するが、本件取消訴訟においては、本来、本件各処分において認定された課税標準又は税額が客観的に正当とされる数額を超えているか否かによってのみ、本件各処分の違法性の存否が決せられるべきであるから、被告のした調査が他事目的の調査であるか否かは、本件各処分の適法性の判断に直ちに影響を及ぼすことはないといわねばならないうえ、前記2の認定事実によれば、原告の右主張はこれを認めることはできない。

(二)  次に、被告が本件各処分に先立って行った原告方の臨店調査に際しては、被告は、原告に対し事前の連絡もなく、また、原告に対して調査理由も開示せず、更に、原告が依頼した市原民商役員らの立会いを拒否して質問検査権を行使したものであり、これを原告が拒否したのは正当な権利行使であるから、原告の調査拒否を理由としてなされた本件推計課税は違法無効である旨主張する。しかしながら前記2の認定事実によれば、なるほど仲野係官が昭和四八年九月二八日原告方に臨店調査するに当っては事前に調査日時を連絡しておらず、また、残間係官が同年一一月一六日原告方に臨店調査した際、同所にいた民商事務局員等の退席を要求したことのあることが認められるが、他には原告の指摘するような事実のないことが認められる。ところで、所得税法第二三四条は、課税庁の税務職員が「・・・、所得税に関する調査について必要があるときは」質問検査をすることができる旨規定しているが、そのために「事前に通知を要する」旨、「理由の開示を要する」旨、また「第三者の立会いを拒否してはならない」旨の規定は存在しないから、本件において事前に通知をせず、また第三者の退席を要求して質問検査がなされたからといって、直ちに当該質問検査権の行使が違法となるものではないのである。もとより臨店調査をするに際しては事前に通知し、理由を告知すれば、被調査者に時間の調整、事前準備等の機会を与えてその協力を得られ易く、調査が円滑に進むことは考えられるが、右事前の通知等は、質問検査権を行使する税務職員において調査の円滑化、被調査者及び取引先の秘密保持等を考慮しながら、具体的にその調査の情勢に応じ合理的に判断して裁量すべきものと解するのが相当であり、被調査者に事前通知を要求する権利や第三者の立会いを求める権利が与えられているものではないと解すべきである。のみならず、前記2の認定事実によれば、仲野係官が事前通知することなく臨場した昭和四八年九月二八日は原告が不在のため、同係官は原告の妻に対し、同女が知っている範囲内のことを質問して同女から任意に答えてもらったにすぎないのであり、また、残間係官は、同年一一月一六日の調査において民商事務局員等の退席を要求したものの、それに応じてもらえないまま質問を続行していることが認められ、原告が殊更、事前の通知がなかったとか、第三者の立会いを拒否されたとかの事由をもって、被告を非難できる状況には全くなかったことが認められるのである。

三  推計の合理性と本件各係争年度の所得額について

1  売上原価について

前記二項2において認定したとおり、被告は、原告の取引銀行や仕入先について反面調査を実施し、本件各係争年度の仕入金額を調査したのであるが、本件各係争年度の売上原価は右仕入金額であり、原告が別表(六)、(九)、(一二)各記載の各仕入先から仕入れていること及びそのうち京葉産業株式会社(以下、「京葉」という。)及び株式会社東ビ(証人松本邦春の証言により昭和四六年に東ビ株式会社と商号変更していることが認められる。以下、「東ビ」という。)を除くその余の仕入先からの仕入金額が別表(六)、(九)、(一二)各記載のとおりであることは当事者間に争いがない。そこで、本件各係争年度における原告の京葉及び東ビからの各仕入金額について検討する。

弁論の全趣旨からいずれも真正に成立したものと認める乙第二四ないし第二八号証の各一ないし三(いずれも官公署作成部分については成立に争いがない。)によれば、原告の昭和四五年度の京葉からの仕入金額は金三七四四万四七八二円、東ビからの仕入金額は金一四〇一万二四三八円、昭和四六年度の京葉からの仕入金額は金三八八四万三一四一円、東ビからの仕入金額は金一六五〇万〇八〇七円(その内訳は株式会社東ビが金七二九万〇三一〇円、東ビ株式会社が金九二一万〇四九七円)、昭和四七年度の京葉からの仕入金額は金三七七三万九〇二六円、東ビからの仕入金額は金一〇二九万〇八〇八円であることが認められるが、一方、証人多田正純、同香田信夫、前記証人松本邦春の各証言及び原告本人尋問の結果並びに証人多田正純の証言によって真正に成立したものと認められる甲第一号証、第二号証、第三号証の一ないし四、甲第四号証によれば、本件各係争年においては、主として京葉、東ビの売上実績向上の営業方針から、右両社はそれぞれ原告の注文した以上の農業用ビニールを原告に納入して、帳簿上は売上げとして計上していたが、原告において消化できない分は後日、逆に原告からその仕入価格で京葉、東ビに各売り戻していたのであって、そのいわゆる「純返品部分」の額は、昭和四五年度は京葉について金三九八万九六七四円、東ビについて金三〇万二二六八円の計金四二九万一九四二円、昭和四六年度は京葉について金九二六万五六二〇円、東ビについて金一二万六四〇〇円の計金九三九万二〇二〇円、昭和四七年度は京葉について金三七八万六三六九円に達することが認められ、右純返品部分はその性質上、京葉及び東ビの各仕入金額からこれを控除するのが相当であることが認められる。そこで、各係争年度の京葉及び東ビからの前記仕入金額から各年度の右純返品額を控除すると、昭和四五年度は京葉分が金三三四五万五一〇八円、東ビ分が金一三七一万〇一七〇円、昭和四六年度は京葉分が金二九五七万七五二一円、東ビ分が金一六三七万四四〇七円、昭和四七年度は京葉分が金三三九五万二六五七円であるから、これらを前記各係争年度の争いのない仕入先からの仕入金額と合算すると、原告の売上原価の額は、昭和四五年度は金六五五七万九二三八円、昭和四六年度は金七八九二万一三八〇円、昭和四七年度は金八一〇二万三八一四円であることが認められる。

2  推計に用いた差益率、算出所得率、人件費率について

証人越川忠平、同馬場謙朗の各証言並びに同越川の証言によって真正に成立したと認める乙第一五号証の一ないし三、同馬場の証言によって真正に成立したと認める乙第一七号証の一ないし三及びいずれも弁論の全趣旨により真正に成立したと認める乙第四ないし第一四号証、第一六号証、第一八ないし第二三号証(以上いずれも官署作成部分は成立に争いない。)、成立に争いのない乙第三〇号証並びに弁論の全趣旨によれば、被告は、前項において認定したとおり、原告の取引銀行や仕入先について反面調査を実施して把握した本件各係争年度の仕入金額を基礎とし、別表(一)ないし(三)記載の原告の同業者の平均差益率、平均算出所得率及び平均人件費率を適用して、原告の本件各係争年度の売上金額、算出所得金額及び所得金額等を算定したのであるが、右算定方法において採用した別表(一)ないし(三)記載の同業者は、原告の納税地を所轄する千葉税務署(当時)管内には原告と類似する同業者がなかったため、千葉県下を所轄するすべての税務署管内からこれを抽出することとし、東京国税局長が千葉県下を所轄するすべての税務署長宛に通達を発して調査報告させたものであること、そして具体的に同業者を抽出するに当っては、農業用ビニールの加工販売並びにビニールハウス及びその他の農業用資材の販売を業とする個人事業者のうち昭和四五年分、昭和四六年分又は昭和四七年分の所得税の申告を青色申告書によっている者で、税務署長より更正処分を受け、これに対して不服申立てを行い係争中の者を除き、かつ、〈1〉農業用ビニールの加工販売及びビニールハウスの販売に係る売上原価の類がその者の売上原価全体の七〇パーセント以上を占めるもの、〈2〉農業用ビニールの加工機械を所有しているもの、〈3〉当該事業に納税義務者本人のほか家族又は雇人が従事しているもの、〈4〉年間を通じ事業を行っているもの、の各条件に該当するものの全員としたこと、したがって右抽出に当っては、先ず思惑や恣意の介在する余地のない公正な抽出と、原告と同業者との立地条件の類似性が考慮されており、また、安定性のある青色申告書の提出者とすることによって比率を算定するに当りその基礎となる数額の正確性を担保しようとしていることが認められる。更に前記乙第一ないし第三号証の各一、二、前記証人多田、同松本の各証言及び原告本人尋問の結果によれば、原告方には本件各係争年当時、ビニール加工のために全自動高周波ミシンを設置しており、昭和四五年及び同四六年の各年度には原告の長男多田正純が、昭和四七年度には右正純及び原告の長女多田満子が原告の事業に各従事し、かつ、原告方では量はそれほど多くはないものの、農業用ビニール、ポリエチレン及びビニールハウス以外の農業用資材をも販売していることが認められる。

右認定事実によれば、原告と別表(一)ないし(三)各記載の同業者との間には立地条件のほか、業種、業態及び営業規模においても相当の類似性を肯認することができるのである。前記証人多田の証言及び原告本人の供述中には、千葉県下の農業用ビニールの加工販売業者はそのほとんどが肥料、農薬等の販売を兼業しており、その中から抽出した別表(一)ないし(三)各記載の同業者は原告とはその事業内容を異にする旨の部分があるけれども、右証言等を裏付ける的確な証拠はなく、また、前記証人多田の証言により多田正純が昭和五三年に甲第五号証の一に記載の商店を撮影した写真であることが認められる甲第五号証の二ないし一七も、その撮影時期が本件各係争年と離れているばかりか、右撮影の対象となった商会と被告の抽出に係る同業者との間に同一性のあることを肯認せしめるに足りる証拠がない。したがって、右証言等や写真の存在は、原告と被告の抽出に係る同業者との間に類似性があると認定するための障害となるものではない。

してみると、別表(一)ないし(三)各記載の同業者の平均差益率、平均算出所得率及び平均人件費率を基にした原告の売上金額、算出所得金額及び人件費の推計には合理性があるというべきである。

次に、原告は、昭和四五年度には金五一万三三五五円、昭和四六年度には金一〇九万一八一五円の貸倒金があると主張し、甲第九号証の一、二、第一〇ないし第二〇号証にはそれに副う記載部分が、前記証人多田の証言中にはそれに副う部分がそれぞれ存在する。しかしながら、税法上特定の債権が貸倒れとして所得税法第五一条第二項の適用を受け必要経費に算入されるためには、債権の取立てが不能になるか、あるいは債権の回収の見込みのないことが客観的に確実となることが当該事業年度内に確定した場合でなければならず、また事実上貸倒れとなったとしても必要経費として貸倒れと認められるためにはそれだけでは十分でなく、更にその債権を放棄するなどして償却の措置をしたという事実が必要であると解されるところ、前記甲第九号証の一、二。第一〇号証記載の各債権が取立不能であるとか、あるいは債権の回収の見込みのないことが当該事業年度内に確定したこと又は原告において右各債権につき各債務者に対して放棄するなどして償却の措置をとったことを認めるに足りる証拠はない。かえって、方式及び趣旨により公務員が職務上作成したと認められるので真正な公文書と推定する乙第三一ないし第三六号証、証人朝間清、長 ウラ、長崎文雄、猪野つね、今井一衛の各証言によれば、原告が、昭和四六年度において貸倒れ処理したと主張する債務者の長 好一、長崎明、猪野豊、朝間清、天羽昭雄及び今井一衛については、いずれも少なくとも同年度において貸倒れ処理する原因のないことが認められるのである。のみならず、原告の貸倒金の額が他の同業者のそれと比較して特に多いという特段の事情について主張、立証のない本件においては、たとえ原告主張の貸倒れ債権があったとしても、被告の用いた算出所得率の合理性に影響を与えるものではなく、右貸倒れ債権の金額を各年度の推計された所得金額から控除すべきである。との原告の主張は推計課税の本質からいって許されるものではない。

そこで別表(一)ないし(三)記載の各比率を基礎に各金額を算出してみる。

(一)  売上金額について

各年度の売上原価に別表(一)ないし(三)記載の各平均差益率を適用し、「(売上原価)÷(1-(各年度の平均差益率))=(売上金額)」の算式に従って売上金額を算出すると、昭和四五年度は金七四三六万一三〇八円、昭和四六年度は金九〇二〇万六一七二円、昭和四七年度は金八一一七万〇〇七三円となる。

(二)  差益金額について

差益金額は、各年度の売上金額から売上原価を控除したものであるから、その算式に従ってこれを算出すると、昭和四五年度は金八七八万二〇七〇円、昭和四六年度は金一一二八万四七九二円、昭和四七年度は金一〇一四万六二五九円となる。

(三)  算出所得金額について

算出所得金額は、売上金額から売上原価及び一般的な経費(経費のうち後記(四)ないし(六)の人件費、支払利息・割引料及び建物減価償却費以外のもの)差し引いた金額であり、各年度の売上金額に別表(一)ないし(三)記載の各平均算出所得率を乗じて得られるものであるから、その算式に従ってこれを算出すると昭和四五年度は金五七五万五五六五円、昭和四六年度は金七四五万一〇二九円、昭和四七年度は金六二九万〇六八〇円となる。

(四)  人件費について

人件費は、雇人費、外注費及び家族従業者に対する給与の合計額であり、売上金額に別表(一)ないし(三)記載の平均人件費率を適用して算出されるものであるが、別表(一)ないし(三)記載の同業者は、前記認定のとおり、すべて青色申告者であって、その家族従業者に対する給与は所得税法第五七条第一項に規定する青色事業専従者給与であるが、原告はいわゆる白色申告者であるから、同条第三項の事業専従者控除が適用されるため、原告の人件費は次の算出によって算出されることとなる。

「原告の人件費=(各年度の売上金額×別表(一)ないし(三)記載の各平均人件費率)-(同業者の家族従業者一人当りの給与×原告の家族従業者数)」

ところで、前記乙第一号証の一によれば、昭和四五年度における原告の事業専従者は一人であり、前記乙第二号証の一によれば、昭和四六年度における原告の事業専従者は一人であり、前記乙第三号証の一によれば、昭和四七年度における原告の事業専従者は二人であることがそれぞれ認められるから、右算式に従って原告の人件費を算出すると、昭和四五年度は金二〇九万九六〇四円、昭和四六年度は金二五一万九九六五円、昭和四七年度は金二二八万一六一一円となる。

3  支払利息・割引料について

昭和四五年度ないし昭和四七年度についていずれも当事者間に争いない。

4  建物減価償却費及び事業専従者控除額について

昭和四五年度ないし昭和四七年度についていずれも当事者間に争いない。

5  各係争年度の所得金額について

昭和四五年ないし昭和四七年の各年度とも前記2(三)の各算出所得金額から前記2(四)の各人件費、3の支払利息・割引料、4の建物減価償却費及び事業専従者控除額を控除して各係争年度の所得金額を算出すると、昭和四五年度は金三一三万一三七六円、昭和四六年度は金四一八万七八三四円、昭和四七年度は金二九七万三三〇一円となる。

よって、右に認定の各係争年度の所得金額は本件各更正の際の認定額を上回るものであるから、結局、本件各更正は適法であり、また、本件各更正による増差税額に対して国税通則法第六五条第一項等の定めるところにより、それぞれ過少申告加算税を賦課決定した本件各決定も適法である。

四  結論

以上によれば、原告の本訴請求はいずれも理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担について行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 丹野益男 裁判官 菅原雄二 裁判官 傳田喜久)

別紙(一) 昭和四五年分 差益率及び所得率表

〈省略〉

人件費率表

〈省略〉

別表(二) 昭和四六年分 差益率及び所得率表

〈省略〉

人件費率表

〈省略〉

別表(三) 昭和四七年分 差益率及び所得率表

〈省略〉

人件費表

〈省略〉

別表(四)

一 昭和四五年分

〈省略〉

二 昭和四六年分

〈省略〉

三 昭和四七年分

〈省略〉

別表(五)

昭和四五年分

所得金額 金三、三四六、九七〇円

〈省略〉

(注) 期首及び期末の商品等のたな卸金額は、調査に際し、原告がこれを明らかにする資料を提示しなかったので同額とし、調査によって把握した仕入金額に相当する金額を売上原価の額とした。

以下昭和四六年分及び昭和四七年分も同様である。

別表(六)

〈省略〉

別表(七)

〈省略〉

別表(八)

昭和四六年分

所得金額 金四、七二六、七二九円

〈省略〉

(注) 期首及び期末の商品等のたな卸金額は、昭和四五年分の所得金額(注)で主張したのと同様である。

別表(九)

〈省略〉

〈省略〉

別表(一〇)

〈省略〉

別表(一一)

昭和四七年分

所得金額 金三、一四五、五二六円

〈省略〉

(注) 期首及び期末の商品等のたな卸金額は、昭和四五年分の所得金額(注)で主張したのと同様である。

別表(一二)

〈省略〉

〈省略〉

別表(一三)

〈省略〉

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